FURY フューリー
最初から最後まで戦争。
あらすじ
1945年ドイツを追い込んでいる連合軍だが、ドイツは徹底抗戦し、なぜか終戦しない戦争。
アメリカ軍のM4中戦車シャーマン“フューリー”の指揮者ドン・コリアー軍曹と、その部下四人の一日の戦い。
シャーマンという戦車はアメリカの大量生産で作られたものです。5人で操ります。
その5人のある24時間の中でののバトルが4つあるんですが、どれも戦車の戦いが存分に描かれています。
まずは
1「味方部隊の掩護任務(野戦)」
は待ち伏せしている敵部隊に釘付けにされている味方部隊を戦車と歩兵で助けに行くってやつです。
2「市街戦」
では街の制圧です。どこから現れるかわからない敵部隊、狭い路地、緊張感が半端ないです。
3「V.S.ティーガー戦車」
当時世界最強のティーガー戦車との壮絶な戦車戦です。もう、手に汗握る戦車の肉弾戦です。
4「5人V.S.300人 十字路の戦い」
たった一輛でドイツのSS部隊300人と戦うことになった5人。夕方から夜にかけて文字通りの死闘が繰り広げられます。
いや盛りだくさん過ぎる。
しかし、戦闘以外の部分もしっかり作られていて、それによって戦闘シーンにすごい厚みが出てきます。
ただほんとに、戦争です。戦争ものといえばスピルバーグの
プライベートライアン、
バンドオブブラザーズや、
ザ・パシフィック
などを観てきましたが、
本作FURYも同様に、戦争でした。
戦争しない子どもを電柱にくくりつけるSS将校がいれば、
全く正反対なSSもいる(詳しくは言えない)。
新兵に捕虜を殺さないとお前を殺すと脅して殺させる上官がいれば、
その新兵に出発する前になにか食べておけと気遣う上官もいる。
戦争という極限の状況の中で、同じ人でもさまざまな面がころころ現れては消える。
さっきまで話していた人が、爆発で火に包まれ、耐えきれず拳銃で自ら頭を撃つ。
トラックに山のように詰まれた死体。
泥道に横たわる死体を轢いて進む戦車。
嘘のようなホントの戦争が繰り広げられます。
映画館で観るべきだと思いました。
ふだんの生活から離れた場所で、
戦争を「体感」する。
本作は戦争です。付け加えると男だらけの戦争です。
女性は出てくることは出てくるんですが(重要な役どころだが、全体から観るとすこしだけ)、パンフレットには写真すら出てこない(なぜ)。
ということで、男臭い(映画館もおっさんだらけだった。女性は一割くらい)、ドロドロの戦争映画ですが、とても良かったです。
フューリー、憤怒の炎、激しい怒り、と名付けられた戦車の生き様は怒りと祈りに満ちていました。
星五つ